【小説】レオポルド・ショヴォー/出口裕弘訳「年をとったワニの話」「子どもを食べる大きな木の話」「名医ポポタムの話」「いっすんぼうしの話」「ふたりはいい勝負」(以上、福音館文庫)。
リハビリのため「ショヴォー氏とルノー君のお話集」を完読。ナンセンスな展開がクレシェンドしていく話、ことに食っちゃう系がいい。印象深かったのは「年をとったワニの話(再読)」「アザラシの子の話」「人食い鬼の話」など。「クラニー氏とミーコ姫のお話集」とか書きたくなってきたな。
【小説以外】マリオ・プラーツ/高山宏訳「ムネモシュネ 文学と視覚芸術との間の平行現象」(ありな書房)、吉松隆「図解クラシック音楽大事典」(学研)、村野まさよし編「ブックオフの真実」(日経BP社)、佐野眞一「だれが『本』を殺すのか PRAT2延長戦」(プレジデント社)、浅羽通明「アナーキズム」(ちくま新書)、伊丹啓子句集「ドッグウッド」(沖積舎)、山田淳夫「消える本屋」(アルメディア)、浅羽通明「ナショナリズム」(ちくま新書)、kashiba@猟奇の鉄人「あなたは古本がやめられる」(本の雑誌社)、山崎十生句集「花鳥諷詠入門」(富士見書房)。
しばらくなりをひそめていた浅羽通明が「名著でたどる日本思想入門」という副題で新書を二冊同時刊行した。一見すると教科風だが、内容は「ニセ学生マニュアル」の昔から連続しており、ハッタリと紙一重の浅羽節を耽能できる。文章は以前のむくつけきアジテーション臭が影をひそめ、そこはかとなく張り扇の香りが漂う。その「声の良さ」を何より評価したい。
うーんしかし、ナショナリズムかアナーキズムかと問われたら、やはり断然アナーキズムだな(ギロチン社とか中浜哲とか懐かしすぎる)。声の小さい優柔不断な保守系アナキストだけど。
最後にどうでもいい話だが、「あなたは古本がやめられる」に同じ読者カードが三枚も入っていたのは謎すぎる。
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